自社ローンで車を買う際に、しっかりと確認しておきたいのが契約書の内容です。
自社ローンは、販売店が独自に審査・契約するため、契約書の内容も店舗ごとで異なります。
なんとなく確認してサインしてしまうと、潜在的なリスクに気付けず後悔する恐れもあるので注意が必要です。
そこで記事では、自社ローンの契約書に記載される主な項目や、見落としやすい条件などを解説していきます。
目次
自社ローンとは、銀行や信販会社などの金融機関を介さず、中古車販売店が独自の審査基準に基づいて直接購入者と分割払いの契約を結ぶ販売方法です。
ほかのカーローンとは異なる点も多いため、利用の際は事前に契約の特徴について知っておく必要があります。
一般的なのカーローンでは、信用情報機関に照会して過去の借り入れ履歴や延滞歴を確認するのが通例です。
一方、自社ローンでは、信用情報機関を通さず、現在の収入状況・勤務形態・毎月の支出バランスといった今の返済能力を中心に、販売店が独自の基準で判断します。
自社ローンのメリットは、信用情報に傷がある方でも利用できる可能性がある点です。
信用情報機関への照会を行わないため、銀行や信販会社系のカーローンと比べて審査に通りやすいと言えます。
また、自社ローンの契約は販売店内で完結するため、審査結果が早く出やすい傾向です。
車種は在庫の中から選ぶ形式が主流なので、納車までの時間が比較的短縮される点もメリットのひとつと言われています。
自社ローンの気になるポイントとしては、在庫は販売店ごとで異なるため、普通に購入するよりも車種や年式の選択肢が限られる点です。
また、金利が発生しない代わりに、価格が市場相場より高めに設定されているケースや、GPS装置の取り付け費用などが上乗せされている場合があります。
そういった事例があることも踏まえて、総支払額をしっかり確認してから判断することが重要です。
自社ローンを利用して、実際に車を手にするまでの流れは以下のようになります。
各内容についても詳しく見ていきましょう。
まずは、自社ローンを取り扱っている販売店で希望の条件に合う車両を選びます。
すべての車種が自社ローンの対象になるわけではありません。
店舗によって対象となる車両が定められているため、訪問またはオンラインを利用して確認してみましょう。
希望の車両が決まったら、販売店のスタッフに自社ローンの利用と支払いプランの相談をします。
支払いプランが決まったら、申込書類を記入・提出しましょう。
本人確認書類や収入証明書など、必要書類を来店前に確認し、事前に用意できておくと後工程がスムーズになります。
申込書類と必要書類が揃うと、販売店が審査を行います。
審査に通過すると、返済期間・月々の支払額・総支払額・遅延時の取り扱いなど、契約の詳細条件が提示されるので、しっかりと確認しておきましょう。
内容に疑問があれば必ずその場で質問し、十分に理解した上で署名・捺印してください。
聞いていなかったというトラブルを防ぐためにも、契約書の控えは必ず手元に保管しておきましょう。
契約締結後は、車両の整備や名義変更などの登録手続きが進められます。
整備の内容にもよりますが、これらの工程に1〜2週間程度かかるのが一般的です。
この間に、任意保険の手続きを進めておきます。
納車当日は、車両の状態を書類の内容と照らし合わせて、問題がないか確認してください。
自社ローンを利用する際は、以下の契約書に署名する必要があります。
※売買契約書に賦払条項を組み込む1通型もある
契約書の目的と書かれている主な内容は、以下のとおりです。
車両売買契約書は、販売店(売主)と購入者(買主)の間で交わされる売買に関する取り決めを明文化した書類です。
車両の名称・車台番号・年式・走行距離といった車両情報、販売価格、諸費用の内訳、引渡し時期、所有権の移転に関する事項などが記載されます。
この書類が、車の売り買いそのものを証明する書類になります。
自社割賦契約書は、分割払いの条件を定めた書類です。
割賦販売法では、2か月以上の期間にわたり、かつ3回以上に分割して代金を受領する方法で販売する場合を「割賦販売」と定義しています。
販売業者はその契約内容を明らかにする書面を購入者に交付しなければなりません。
この書面に相当するのが自社割賦契約書であり、割賦価格・賦払金の額と支払い時期・方法・契約解除に関する事項・所有権移転に関する定めなどが記載されます。
前項で述べたとおり、自社ローンの契約書にはさまざまな内容が記載されています。
トラブルを回避するためにも、契約書に盛り込まれる主な項目について正しく理解しておきましょう。
契約書で重要なのが、現金価格・割賦価格・賦払金の数字です。
現金価格と割賦価格の差額が、分割払いを選ぶことで発生する追加負担分(分割払手数料相当額)になります。
支払日は、月々の支払期限(毎月の引き落とし日)、支払回数は何回払いか(48回・60回など)を意味しています。
初回支払日はそのままの意味ですが、納車月の翌月になる場合もあれば、納車当月末になる場合もあるので注意が必要です。
給与の振込日と照らし合わせて、無理のないスケジュールになっているか確認しておきましょう。
支払いが遅れた場合に、販売店側がどう対処するかが記載された部分です。
電話・書面での催告、車両の引き上げ条件、遅延損害金率などの内容を含みます。
ちなみに、自社ローンにおける一般的な遅延損害金率は年14.6%です。
また、賦払金の支払いが履行されない場合でも、20日以上の相当な期間を定めて書面で催告を行わなければ、契約を解除したり、支払い期限未到来の賦払金を一括請求したりできないと定めています。
割賦契約書には、契約の解除に関する事項を明記することが義務づけられており、中途解約が必要になった場合の手続き条件・車両返却の要否・精算方法などが記載されています。
自社ローン中の車は所有権が販売店にあるため、残債が残った状態での解約は、残債の一括返済もしくは車両返却(査定により金額が変わる)を求められるのが一般的です。
解約条件のほかに、違約金や中途解約時の精算ルールも必ず確認しておきましょう。
所有権の移転に関する定めがある場合は、その内容を書面に記載することが義務づけられています。
自社ローンでは、ローンを完済するまで車両の所有権が販売店に留保されるのが原則です。
完済後に販売店から所有権が移転され、購入者への名義変更手続きが可能になります。
契約書には、このような所有権移転の流れが記載されているので、事前に確認しておくと安心です。
自社ローンの契約書には、基本的な支払い条件のほかに、以下のような特約が記載されていることもあります。
あとになってトラブルに発展しやすい項目とも言えるので、これらもしっかりと確認しておきましょう。
ここでは、自社ローンの契約書で見落としやすい4つの特約条件を紹介します。
自社ローンでは、支払い遅延時の車両管理を目的として、GPS装置および遠隔エンジン制御装置を車両に搭載するケースがあります。
この装置の搭載や支払い遅延時の使用については、契約書への明記と購入者への事前説明が必要です。
GPS取り付けに関する条項が盛り込まれている場合は、GPS機能が搭載されている旨を確認し、取り扱いに関する規定や遠隔停止の発動条件などを確認してください。
余裕ができたときに一括または一部の繰上返済ができるか、その際に手数料は発生するのか、なども契約書で確認しておきましょう。
繰上返済を認めていない販売店もあるため、将来的に早期完済を検討している場合は、契約書で明確にしておく必要があります。
保証人なしで利用できる自社ローンであっても、条件によっては保証人を求められるケースがあります。
保証人を立てる場合、契約書で保証人に関する項目を確認し、役割や連帯保証の範囲などを確認しましょう。
保証人となる方にも契約内容を十分に説明し、合意を得た上で手続きを進めることが大切です。
自社ローンを扱う販売店によっては、整備保証やアフターサービスの内容・期間が限定的な場合があります。
購入後すぐに保証とアフターサービスが切れると、修理費用が思わぬ出費につながり、返済計画に狂いが生じるので注意が必要です。
保証の対象範囲・期間・対応窓口などを契約書で確認しておき、納得の上でサインする必要があります。
仕事や雇用などの契約は、双方の合意があれば、契約を結んだあとでも原則として条件変更が可能です。
自社ローン契約後の条件変更が可能かどうかは、販売店によって異なります。
自社ローンは銀行や信販会社が介在しないため、返済期間の延長・短縮や月々の支払額の調整、名義変更などについては、販売店が独自に対応できるケースがあります。
ただし、条件変更には追加の審査や手数料が発生する場合があり、すべての変更が必ず認められるわけではありません。
条件変更を希望する際は、早めに販売店へ相談してみましょう。
条件変更の相談で多いのは、収入が減って月々の返済が難しくなった、転職や転居で生活状況が変わった、といった返済計画の見直しです。
こうした相談の背景には、契約時点でギリギリの返済計画を組んでいるケースが見られます。
将来の収支変動も見据えた余裕のある計画を立てることは、条件変更を求める事態を避ける上でも重要なポイントと言えるでしょう。
条件変更を希望する場合、主に必要となるのは、本人確認書類、契約書の写し、条件変更申請書などです。
返済期間の変更や月額の見直しを求める場合は、収入の変化を証明するために直近の給与明細や確定申告書などの、収入証明書類の提出を求められることもあります。
使用者の名義変更であれば、新旧名義人の身分証明書や委任状などが必要です。
書類に不備があると手続きが停滞するため、事前に販売店へ必要書類を確認してから準備するのをおすすめします。
月々の返済額を減らす目的で返済期間を延長する場合、毎月の支出は確かに抑えられますが、返済期間が長くなるほど総支払額は増加します。
また、条件変更には別途手数料が発生するケースもあります。
今の負担を軽くできても、総支払額は膨らむという点を十分に理解した上で判断することが必要です。
車両の登録ナンバーを変更する場合も、所有権が販売店にある自社ローンでは、販売店への連絡と同意が必要です。
ナンバー変更の手続きには車検証上の住所変更が伴い、所有者である販売店の委任状や印鑑証明書が求められます。
無断で手続きを進めてしまうと、受付ができなかったり、契約違反と判断されたりするリスクがあるので注意が必要です。
住所変更が決まったら早めに担当者へ連絡し、事前に必要書類と手順を確認しておきましょう。
自社ローンは、信用情報に不安がある方でも、中古車購入の選択肢を広げてくれる有効な手段です。
その契約書には、車の売買に関する情報・取り決めと、分割払いに関わる条件が記載されています。
また、GPS装置の搭載条件や繰上返済の可否、保証人の役割といった特約条件も記載されています。
契約後の条件変更は状況次第で対応してもらえる場合もありますが、追加の手数料や審査が伴うこともあるので注意が必要です。
契約書の記載内容をあらかじめ把握しておき、疑問点はその場で質問することが、納得してサインするための重要なポイントと言えるでしょう。